ホームインスペクション(住宅診断)とは何か?
2016年2月26日、プロの専門家が中古住宅の売買前に、住宅のひび割れや雨漏りなどを診断する「ホームインスペクション(住宅診断)」を促す、改正宅地建物取引業法案を閣議決定されました。仲介業者が契約時に売り手と買い手に住宅診断を実施、もしくは確認することが義務化されます。中古物件取引における信頼性を高めることで、中古住宅市場の活性化を促進することが目的です。中古物件の売却や購入を検討されている方は、このサイトを通じてホームインスペクションのことをきちんと理解して、後悔のない不動産取引を実現してくださいね。
そもそもホームインスペクションとは?
ホームインスペクション(別称「住宅診断」「建物検査」とも言われる)とは、住宅診断に詳しい専門家(ホームインスペクター、住宅診断士)が第三者の中立的視点から、その住宅の劣化状況や改修の必要性、居住する上でのリスクなどをアドバイスをしてくれるサービスのことです。
売り手はどうしても少しでも高い価格で自分の物件を売りたいというモチベーションが働くため、自分にとって都合の悪い情報を隠したがる傾向にあります。もちろんすべての売り手がこのように考えるわけではありませんが、一部にこうした悪質な売り手がいることで、優良な売り手さえ信用されなくなり、結果的に中古物件の取引が活性化にブレーキがかかってしまいます。
しかしホームインスペクションを活用すれば、売り手にとっても買い手にとっても安心して取引を行うことができるようになるため、最近注目され始めています。最近では、不動産仲介業者が物件の状況を消費者に明らかにすることで安心して取引してもらうというケースも増えています。
ちなみに中古物件の取引が盛んなアメリカでは、州によって異なるものの、取引全体の70~90%の割合でホームインスペクションが行われています。
ホームインスペクションはいつやるべきか
マンションを購入する一連のプロセス (物件の内見から契約、入居) の中で、どのタイミングでホームインスペクションを行うべきタイミングとしてふさわしいのはいつでしょうか?
物件の内見をしている段階でホームインスペクションを入れてしまうと、ほかの検討者に決められてしまう可能性があるのでおすすめしません。ベストなのは、申し込み後 (買付証明書・申込書といった書類を提出し、申込金を1~10万円程度支払った後) のタイミングです。
この段階であれば、まだ契約は締結されていないので、ホームインスペクションの結果を受けて申し込みをキャンセルしても問題ありません。もちろん、支払った申込金も返金されます。
ホームインスペクションは義務化されるの?
いいえ、2016年2月の閣議決定では、中古戸建てやマンション物件の購入時に、ホームインスペクション(住宅診断)が義務化されるわけではありません。
今回決まった内容は主に下記の3点です。
- 媒介契約の締結時に、インスペクション(建物診断・検査)事業者の斡旋に関する事項を記載した書面を依頼者に交付すること
- 買主などに対して、インスペクション結果の概要などを重要事項として説明すること
- 売買などの契約の成立時に、建物の状況について当事者(売主・買主など)双方が確認した事項を記載した書面を交付すること
ホームインスペクションを必ず実施しなければいけなくなるわけではありませんが、ホームインスペクションの存在について理解する機会が増えるのは間違いありません。住まいの購入は金額が大きいということもあるからか、多くの人がどこかしらで後悔をしているという調査結果がありましたが、ホームインスペクションの普及により、少しでも多くの人が住宅購入によって幸せになってくれるといいですね。